web3とジェネレーション・レフトとこれからの働き方

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最近、ネット界隈で話題になり始めた「web3」というコンセプトと、Z世代を中心に広がっている社会主義を志向する「ジェネレーション・レフト(左傾化)」というムーブメント。

一見、それぞれ別の世界の話に聞こえるかもしれないけど、根っこは同じところから始まっている話なんじゃないかな、と個人的に妄想している。

両者とも、現状はまだメインストリームに対する批判票のレベルだと思うけど、次の新しいスタンダードを作る種として、結構、社会全体がその方向に向けて、具体的な舵を切りそうな予感がしている。

成功するかどうかわからないけど、その文脈での新しいチャレンジがたくさん生まれてくる予感がする。

これらのコンセプトやムーブメントは、社会をどのように変えようとしているのだろうか?そして、僕たちの働き方にどう影響してくるのだろうか?

今回はちょっと小難しいテーマだけど、そもそも「web3とは?」「ジェネレーション・レフトとは?」といったところから、今後の働き方の変化の仮説まで、僕なりにまとめてみた。

あらかじめ謝っておくけど、間違ってたらごめん。

web3とジェネレーション・レフトとこれからの働き方

web3とは?

1990年代から始まったインターネットの「web1.0」のコンセプトでは、オープンなプロトコルで、非中央集権的な思想のもとに、誰でも直接情報を発信することができる世界が実現した。

それが、2000年代から始まった「web2.0」のコンセプトでは、よりユーザー参加型のコンテンツや集合知の価値が重視される一方で、それを束ねるGAFAを代表とするプラットフォーム事業者というプレイヤーを出現させた。

それを踏まえての「web3」というコンセプトの出現である。

「web3」は「web2.0」で中央集権化されたプラットフォーム事業者から、コンテンツのオーナーシップ(所有権)を、今一度、個人やコミュニティに取り戻そうとするムーブメントである。

このムーブメントの拠り所となっている技術にブロックチェーンがあり、クリエイターエコノミーとしてトライアルが始まったNFTがある。

ここで大切なポイントは、価値を創出した個人に、そのオーナーシップを明確に定義させた上で、フェアな見返りが得られる新しい経済システムを作っていこうとしていることである。

ジェネレーション・レフトとは?

イギリスの政治理論家、キア・ミルバーン氏が同名の著書で取り上げた言葉。Z世代を中心に、左派的な政党や政治家に支持が集まっている現象。

一般的に、Z世代とは、1990年代後半から2000年代にかけて生まれた世代のこと。現在、10〜20代の人たちを指す。

米国ではこのZ世代が人口の約4分の1を占めているらしい。デジタルネイティブで、インターネット上で自ら意見を発信していくことに抵抗感が少ないとのこと。

米国のZ世代の特徴として、上の世代より資本主義に対して懐疑的で全体的に「左傾化」しているという。

原因は、経済格差が拡大している問題認識と、気候変動に対する危機感だとされている。

経済格差と気候変動によって、教育を受ける機会や住む場所を奪われ、夢を諦めざるを得ない現実に不満を持つ人が増えているという。

アメリカでは最も裕福な1%の人々が、資産の35%を所有し、その比率がどんどん高まっていると言われている。

このまま資本主義を継続しても、一部の富裕層だけに富が集中し、経済格差や気候変動の問題が解決しないのであれば、もう社会主義のほうがいいのでは?という雰囲気が、この世代には広まっているとのことである。

そして、当たり前だけど、この若い世代が次のメインプレイヤーになるということである。

ということで、web3とジェネレーション・レフトは、同じアングルに見える。

プラットフォーム事業者から、コンテンツのオーナーシップ(所有権)を、今一度、個人やコミュニティに取り戻そうとする「web3」。

社会の富が一部の富裕層に独占されつつあり、同時に地球規模で環境破壊が進んでいるということに対する、若い世代からの反対運動としての「ジェネレーション・レフト」。

こう整理すると、僕的には、それらは同じアングルに見える。

別世界でそれぞれ進行しながら、実は地下では繋がっている、一蓮托生な価値観の転換なのではないだろうか?

では、それらのムーブメントが進行していった場合、これからの世界はどう変わっていくのだろうか?

未来を読み解くヒントとして、昨年の12月にNHKで放送された、斎藤幸平さんが解説されたマルクスの資本論の話がとても興味深かった。

これらの現在の問題点に対する提起は、すでに150年前にマルクスが指摘していたのである。

以下、同番組で紹介されたマルクスの資本論を僕なりに要約して紹介したいと思う。

要約1)マルクスが指摘した資本主義の問題点

マルクス的に見た資本主義(キャピタリズム)のシステムとは、超簡単にまとめると以下の認識になる。

・資本主義とは、社会にそもそもある「富」を、資本家が「お金」で買い上げ、それを「商品」に変え、それを市場で売ることによって、さらに多くの「お金」を増やすゲームである。

・社会にそもそもある「富」とは、地球上の「自然環境」であり、人間の「労働力」である。それらを資本家は「お金」で買い上げて「商品」にする。

・資本家は「お金」を増やすために、全てを効率化させていく。生産力を上げる技術革新(イノベーション)は、労働者を効率的に支配、管理するための技術である。決して労働者を「快適にさせる」ことはなく、「効率的に働かせよう」とする。

・生産力を上げる技術革新によって、労働は「精神的労働(構想)」と「肉体的労働(実行)」に分離され、さらに細かく分業化されていく。これによって、機械に奉仕する肉体労働者や、実際には何の社会の役にも立っていない業務(ブルシット・ジョブ−くそどうでもいい仕事)が大量発生していく。

ここで大切なポイントは2つある。

ひとつは、資本主義の中で、資本家によって雇われる「労働」ってのは、安定したお金が支払われる代わりに、技術革新によって、だんだん辛いものやつまらないものに変化してきているということである。

確かに、IT化が進んだおかげで、コンピューターの画面の指示に従って働いている人間の風景を、いろんな現場で目にする。

そして、もうひとつは、「労働力」を提供している労働者の存在が、一方で資本家にとっては市場(顧客)としても見えているという事実である。

資本家は、労働者から買いあげた労働力で商品を作り、それを労働者に売って、資本を拡大させていく。これを回し続けることによって、社会的な富は資本家に独占されていく。

最近、コロナ禍で「経済をどう回すか?」という表現をする人をよく見かけるけど、これはかなり資本家的な視点だよな、と個人的には思う。

マルクス的に資本主義のシステムの問題点を整理するとすれば、

・行き過ぎた資本主義は継続的な社会の富(自然環境、労働力)の循環を壊してしまう

・生産性を上げる技術革新は、労働者にとってさらに過酷な労働環境を作る

ということになる。

これらの資本主義の問題点を踏まえ、マルクスが目指したかった世界とは何だったのか?

要約2)マルクスが目指したかったもの「労働における自律性を取り戻す」

マルクスが資本主義のこれらの問題点を解決して目指したかったことは、「労働における自律性を取り戻す」ことにあった。

人間の「労働力」自体も社会にそもそもある「富」であり、それを資本家だけに買い上げさせるのではなく、もっと社会全体のために役立たせようという方向性をイメージしていた。

行き過ぎた資本主義によって資本家の寡占化が進んだ、共有の富(コモン)を取り戻そう、という考え方。

キーワードとして「アソシエーション(自発的な結社)」という言葉が使われている。

「アソシエーション」とは、人々の自発的な相互扶助や連帯を基礎とした社会をイメージしているらしい。

資本主義(キャピタリズム)は、商品とお金の等価交換による「所有」が前提となるシステムだが、アソシエーションの世界観(コミュニズム)は、分かち合いや助け合いの相互扶助であり、それぞれが持っている富を「シェア」していこうという考え方である。

以上が、マルクスの資本論の要点まとめである。

150年前に書かれた資本論で指摘されている問題点は、まさに今、実際に起こっている問題であり、「ジェネレーション・レフト」が主張している問題提起でもある。

また、「労働における自律性を取り戻す」というコンセプトは、コンテンツのオーナーシップ(所有権)を、今一度、個人やコミュニティに取り戻そうとする「web3」のコンセプトにもつながる。

で、肝心の解決策なのだが、資本論の中では、具体的な答えは示されていない。

昔のソ連や中国みたいな国家統制型の共産主義を唱えているか、というとそうでもない。

あくまで「こんな方向性ってどうかな?」レベルにとどまっている、というのが僕の印象である。

ただ、その中でいくつかヒントはある。

それは、「アソシエーション(自発的な結社)」であり、「自発的な相互扶助や連帯を基礎とした社会」というコンセプトなんじゃないかな、と僕は捉えている。

仮説:これからの世界と働き方

これらの文脈が、これからの世界にどんな方向性を与えていくのか、そしてこれからの僕たちの働き方に何が必要になってくるのか?僕なりに仮説を作ってみた。

これからの世界の方向性

1.独占から開放・分散へ

「web3」でいう分散型のネットワーク。「所有」から「共有」にシフトする経済システム。そして働き方でいうと、ひとつの会社に依存しない働き方。

エクスクルーシブな上下関係的なつながりから、オープンでフェアなつながりの世界へ。

日本では、旧来の会社組織も終身雇用が崩壊し、副業OK、週休3日制度、ジョブ型雇用、といった方向性に加速していく。

大きな組織に頼っていた人にとっては、逆に辛い世界に向かうことになるのかも。

2.利益ファーストから、価値観ファーストへ

ビジネスは利益だけでなく、社会的な意義が今より問われるようになる。

最近出始めたパーパスドリブンな考え方だったり、環境に対する配慮であったり。

所属する組織やコミュニティも、利害関係だけでなく、価値観に対するコミットメントを強く求められるようになる。

3.仕事とプライベートがボーダレスに。そして労働は最小限に。

新しく生まれてくるビジネスには、常に中心に強烈な情熱を持った個人が存在する。

これから生まれてくるビジネスには、更にその要素がクローズアップされる。

マネタイズから生まれるのではなく、社会的必然性や個人的な「好き」から発生するビジネス。端的に言うと、SNSから新しいビジネスが生まれてくる。

なので、サラリーマン的な労働スタイルではないところから、新しいビジネスが生まれてくる。(ワークライフバランスからは新しいビジネスは生まれない。個人のライフワークから新しいビジネスが生まれる)

「仕事」とは自分が主導権を持って始める生産活動であり、「労働」は単純に資本家に自分の労働力を時間売りする取引だとすると、「仕事」は限りなく自分のプライベートな時間との境界がなくなり、「労働」はできるだけ最小の時間で、直近の必要な現金を得る活動に集約していく流れになる。(ベーシックインカムが実現するとこの流れは加速しそう)

4.二者択一ではなく、ハイブリッド

資本家か労働者か、という選択は昔の時代。インターネットが発展したおかげで、フリーランスがマイクロ法人(1人会社)を作れる時代になったので、資本家であり労働者であるという2つの顔を使いこなせることが可能になる。

なので、経済システムも、資本主義か社会主義かという二者択一ではなく、それぞれケースバイケースでうまくバランスを取っていく、というのが現実的な未来なんだと思う。

これらを踏まえて、これらの僕たちの働き方に何が必要か?

1.オルタナティブを持つ。

1社の仕事だけにコミットするのではなく、複数の仕事の選択肢を常に持っておく。

また、1種類の仕事だけでなく、違う世界の仕事にも常に関心を持って、興味が湧くようだったら常にチャレンジしてみる。始めは仕事にならない趣味の世界でもいいと思う。

自分の心の自由領域をキープするために、「好き」とか「面白そう」というアンテナをいつも持っておくこと。

2.コミュニティを持つ。

利害関係だけでなく、同じ価値観を持った仲間を持っておく。仕事の領域でもいいし、趣味の領域でもいい。仕事の領域だとギルドみたいな言い回しになるかもしれないし、マルクスで言うアソシエーションというコンセプトかもしれない。

直近のビジネスにつながらなくても、シンジケーション的なコミュニティは、自分の人生の豊かさを生む社会資本として機能していく。

3.硬直化した直線思考は持たない。

「こうあるべき」という、先入観はできるだけ捨てる。新しい事象に遭遇した時、柔軟に寄り添ってみる「寄り道」感覚が大切。

ノンエクスクルーシブな世界は価値観も多様である。絶対的な正解はなく、他の人の解も尊重しつつ、どう自分なりの納得解を見つけられるかが大切。

そして、新しいトライをしてダメならすぐに諦めて、新しいことを始める「しなやかさ」が大切。

無理筋を頑張り続けても、自分が疲弊するだけ。そもそも無理を感じる「労働」は最小限に、自分が楽しめる「仕事」を追求していくことに時間をシフトさせよう。

4.資本家と生産者(クリエイター)の両面の立場を持つ。

フリーランスでも小さな資本家になれる時代なので、資本家と生産者(クリエイター)の両面の顔をもつことによって、両者のメリットを享受しよう。

自分のやりたいことを仕事にする。

自分のやりたい仕事に自分以外の人手が必要だったら、資本家として他者の労働力を調達して(コラボレーションして)仕事を進める。

自分に直近のお金が必要になったら、労働者として自分の時間を切り売りする。

これらをうまくバランスさせることができると、もっと人生が豊かになるような気がする。

労働力というのは、それぞれの個人にとって幸せな人生を手に入れるための人的資本である。

労働力でお金を稼ぐ、というのは、簿記的な観点でいうと、人的資本を金融資本に変えているにすぎない。

大切なのは、それらの資本を使ってどんな幸せな人生の時間(=資産)が作れたか?ということである。

人生は有限である。

他者のために利用されるだけでなく、もっと個人としての自分の人生の豊かさを感じられる世界に修正していこう。そして、もっと違う形で他者やこの世界のために自分自身を貢献させていこう。

「web3」も「ジェネレーション・レフト」もそんな問題提起をしているのだと僕は思う。

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