無理は禁物

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最近、デジタルマーケティングの運用相談を受ける時、「無理しないほうがいいですよ」と僕はよく言っている。
面倒なことは止めましょう、と言っている訳ではなく、どちらかと言うと、御社らしくないことは止めておきましょう、という意味で言っている。
他がやっているようなことを真似してやっても、せいぜい実現できることは、オリジナルでやっている会社にキャッチアップすることぐらいで、勝てる話でもない。
それより、自社のオリジナルな特徴を継続的にアピールできる取り組みを何か考えたほうがいい。
 
あるディレクターの方から興味深い話を聞いた。
あるオーナー社長(美容系の商材をリアルで販売している)から、今度ホームページを作って、SEO施策で新規にネット上からも売上を立てていきたいという相談を受けたそうだ。
当初は、ネットに対する知見がないから、そのディレクターに丸ごとお任せという話で、そのプロジェクトが始まったが、実際、ディレクターがホームページの企画やSEOの対策キーワード案を持って社長に提示すると、社長からいろんな修正リクエストがどんどん出てきて、結局、社長のやりたいことをそのままホームページにする方針に変わったそうだ。
結果どうなったかというと、予想通り、新規の顧客はホームページでは全く獲得できなかった。
SEO施策も(ビッグワードすぎて)全く効果のないものとなり、流入もない。トラフィックもたいしてないホームページになったとのことだった。
 
でも、ホームページ上で売上が全くなかったかといえばそうではなく、きちんと売上がたっていた。
オーナー社長がいつも接客している既存の顧客がネット上でリピート購入しているのだという。
しかも、ディレクター曰く、SEOやリスティング施策をきちんと回している新規のネットショップより全然いい売上が出ているらしい。
 
この話に特に正解はないのだけど、既存のビジネスがきちんと回っているなら、無理にデジタルマーケティングなんてしなくてもいいんじゃないかと僕は思う。
もう少し厳密に言うと、「デジタルマーケティングっぽいこと」と言うほうが適切かもしれない。
誰でもやっているデジタルマーケティングは所詮、二番煎じだし、競争率の非常に激しい勝負に後から参加することになるので、止めておいたほうがいい。有りがちなコンテンツ、有りがちなSEO対策キーワード。。。
ただ、自分たちの何らかなオリジナルをデジタルマーケティングで増幅できるのなら、話は別だ。
 
「グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ」という本に、こんな文章がある。

自分らしさを表現しよう。社長や社員が社外の人と交流するときにも、ありのままの自分でいよう。奇抜な企業カルチャーがあるなら、それを前面に押し出したほうが、上っ面だけの企業イメージよりも、顧客は好感を抱くかもしれない。プレスリリースやウェブサイトによくある「企業っぽい」表現を取り除き、どんな会社なのか、どんな理念を持っているのか、そのまま伝えよう。
デイヴィッド ミーアマン スコット;ブライアン ハリガン. グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ (Japanese Edition)

 
マーケティングはあくまで「手段」や「増幅装置」であり、それ自体に何の本質的価値もない。
まず自社の価値と伝える相手の図式をどう作っていくのかが先なのだと思う。
 
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