これからのストックビジネスの土壌を考える

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インターネットの世界でビジネスを考える時の憧れのキーワードのひとつに「ストックビジネス」という言葉がある。
最近だと「サブスクリプションモデル」という言葉で表現されることもある。

要は、契約者がいて、毎月チャリンチャリンとクレジットカードの引き落としみたいなことができるビジネスモデルである。
B2Cの場合は毎月数百円から数千円レベル、B2Bの場合は毎月数千円から数万円のレベルのイメージであることが多い。
僕も昔からストックビジネスを狙ったWebサービスをいくつか挑戦してきたけど、やはりどの時代も収益の源泉となる契約者数がストックビジネスの最も大切な資産であり、さらにその契約者を獲得する「土壌」をどこで構築するかが最も重要なKFSとなる。
そう考えるとこの「土壌」というのが、ストックビジネスを生む本質的な資産であり、これに比べると契約者数というのは結果的な資産に過ぎない。
そして、契約者獲得に有効な「土壌」の定義が、時代によって変遷してきている。僕なりに土壌の定義の変遷を整理するとこんな感じだ。
 
1995年以前「会員数」の時代
インターネットプロバイダーによる接続会員数を土壌としたストックビジネスの開拓
1996年〜「利用者数」の時代
ポータルサイト事業者によるWebの出発起点としての情報の網羅性、機能性によるユーザーの囲い込み、ストックビジネス化
2000年〜「訪問者数」の時代
SEOによる着地ページのコンテンツ力によるコンバージョン獲得
2010年〜「フォロワー数」の時代
SNSによる情報の発信者としての信頼度、距離感によるエンゲージメント獲得
 
まず最初に、インターネットに接続するといういわばハード面でのエンゲージメントだった「接続会員」からストックビジネスの土壌が始まり、それがインターネットに接続した後、どうやってインターネットコンテンツを活用するか、という「ポータルサイトの利用者数」という土壌にその価値が移行した。
ここでのシフトは言うなれば「インターネット接続からインターネット活用へのシフト」である。
次に起こったのは、グーグルの検索エンジンによるSEOの登場である。
これによって、土壌としてのプレゼンスとしては、入り口のポータルサイトではなく、ゴールの着地すべきコンテンツが重視されるようになった。
ここでのシフトは言うなれば「ポータルサイトからランディングサイトへのシフト」である。
そして、現在の状況は、行きすぎたSEO競争の反動とSNSの台頭によって、コンテンツの中身だけでなく、誰がどういうつもりでそのコンテンツを発信しているのか?という人やブランドの信頼性、そして文脈をより重視しようとする流れが起こっている。
ここでのシフトは言うなれば「コンテンツからコンテキストへのシフト」である。
 
SNS全盛の今の時代においては、コンテンツの質以上に、それを発信している人のパーソナリティがターゲットに最適化されている必要があるのだと思う。コンテンツ最適化ではなく、キャラクター最適化の時代である。
キャラクター最適化の鍵は距離感である。言い換えれば、リアリティとかシンパシーといった感情をどこまでターゲットに持ってもらえるかである。
ロジックだけではない、ターゲットに合わせたヒューマンタッチなコンテンツをどう出していけるか。それは、発信者のキャラクター設定に関わってくるのだと思う。
昔、中坊公平という弁護士が、人を動かす3要素を「正面の理、側面の情、背面の恐怖」と語ったことがある。今後のストックビジネスの土壌となるユーザーベースを獲得する要素をこれになぞって考えると、「正面のコンテンツ、側面のパーソナリティー、背面のフォロワー数」といった感じになるのだろうか。
SNS型のストックビジネスモデルについては、これからも研究を深めていきたいと思う。(今回はオチなし)