「ジョブ型雇用」という言葉を最近目にすることがあった。
ジョブ型雇用?、なんか変な言葉だなぁ。そんな第一印象もあって、かなりモヤモヤした気持ちになったので、いろいろ調べてみた。そして、このジョブ型雇用というのが、40代から考える新しい働き方にどのように影響してくるのか、僕なりに想像してみた。
僕の結論としては、積極的にこのジョブ型雇用の波を利用して、今の会社組織に依存しない働き方を模索してみてはどうだろうか?という意見である。
以下、いろいろ調べたことと僕が妄想したことを合わせて書いておこうと思う。
ジョブ型雇用とは?40代で考える新しい働き方
ジョブ型雇用とは?
職務を明確にした上で最適な人材を配置する、欧米などで一般的な雇用形態。職務に必要な能力を細かに記載した「職務定義書」(ジョブディスクリプション)を示し、社内外から人材を募る。企業が求める能力を明確にして雇用契約を結ぶため、勤務時間ではなく成果で評価するのが一般的だ。
日本経済新聞より
https://www.nikkei.com/article/DGXKZO59608070W0A520C2EA2000/
職務を定義した「職務定義書(ジョブディスクリプション)」を軸とした、仕事基準での採用のこと。
一方で、今までの採用を「メンバーシップ型雇用」というらしく、新卒一括採用型の雇用システム等がこれにあたる。
多くは総合職として採用し、転勤や異動、ジョブローテーションを繰りかえすことで、会社を支える人材を長期的に育成するマネジメントを取る。
定年まで雇用する終身雇用はこれがベースになっている。
で、ジョブ型雇用という言葉が注目され始めた背景
では、なぜ今、日本で「ジョブ型雇用」という言葉が注目されるようになったのか?(もしくは注目を集めさせようと、大きな力が働いているのか?)
いろいろ調べてみて、僕なりの文章にすると、以下の解釈である。(いろいろ異論はあると思いますが)
今までの「メンバーシップ型雇用(≒いわゆる社畜化)」によって、モチベーションと専門性が低い終身雇用社員が増えてしまって、結果、生産性や国際競争力の低い大企業が増えてしまったから。
ベースとしては国際競争の軸となる主要産業が変わったので、旧来の産業(製造業)での雇用モデルでは戦えなくなったということになるのだろう。
ジョブ型雇用のメリット、デメリット
これは雇う側と雇われる側それぞれの視点で、メリット、デメリットを整理する必要があるので、以下のようにまとめてみた。
雇う側としてのメリット
・今までとは違う雇用条件で、専門人材を採用できる。(ただし、当たり前だけどそこそこいい報酬額を提示する必要あり)
・雇用のミスマッチを防げる(はじめにジョブディスクリプションを明確にするので)
雇う側としてのデメリット
・曖昧な配転やジョブチェンジが難しい。(採用してみて、あ、この人違うかも、と思ってもリカばるオプションが少ない)
・会社への依存度が下がる。転職リスクがある。(本当にできる人材は1社に依存しないから、魅力のない会社は辞めがち)
雇われる側としてのメリット
・自分の専門分野で仕事につけ、実力ベースで報酬が得られる。(若くても専門分野が尖っていたら、いいギャラが手に入る)
・人事異動がないので、その道を極められる。
雇われる側としてのデメリット
・自力、自腹で自己研鑽していく必要がある。(会社は育ててくれない)
・その仕事がなくなった時のリスクがある。
こんな感じでしょうかね。
次に、このジョブ型雇用によって、どのような変化が起こりそうか、僕なりの独断と偏見で妄想してみた。
ジョブ型雇用によって起こる変化とは?
雇用側の企業(経営層)
ポジティブ:専門人材を入れて、停滞した社内風土を活性化させていきたい。(できればメンバーシップ型雇用の社員もいい刺激を受けてほしい)
ネガティブ:専門人材をいれたところで、それ、誰が評価やマネジメントするの?
予想:アグレッシブな新興企業は積極的に活用するけど、古い体質の大企業は既存社員の活性化施策くらいの位置づけで甘噛みして終わってしまう可能性がある。
これから就職する若者
ポジティブ:大学卒業する前後とかで専門分野を磨いた上で、より報酬の高い仕事につこうとする。
ネガティブ:就職前の専門スキルを磨く自己投資ができてない人、自分探しの旅が長引いている人は、タスクワーカー的な低賃金労働にハマる可能性がある。
予想:大学の偏差値軸ではない、進路の多様化と格差が大きく生まれそう。
既にメンバーシップ型雇用をされている社員
ポジティブ:自らジョブ型雇用体系へ、あわよくば専門分野を磨いて独立も視野に。
ネガティブ:専門性を見つけることがマスト的な風潮にちょっとゲンナリ。業界を変えた転職でもしてみるか。。。
予想:結局、ポジティブにもネガティブにも労働力の流動化が加速しそう。
40代から考える新しい働き方
このジョブ型雇用というのが、これからどの程度幅をきかせていくか、まだわからないけど、日本の大企業が「終身雇用&エクスクルーシブで社員の面倒を見る余裕がなくなってきた」という声をあげはじめたことだけは事実だと思う。
20代から30代前半にかけての社会人10年未満の選手は、自己成長の幅も大きく、背負っているものも少ないのでいろんなチャレンジがしやすい。
次に、30代後半になってくると、なんとなく今までやってきた延長線だと、どんなところに自分が落ち着きそうになるか、だいたいのオチが見えてくる。
そして40代である。
現状の働き方の延長戦上に展望が見えないのなら、僕的には、積極的にこのジョブ型雇用の波を利用して、今の会社に依存しない働き方を模索したほうがいいのではないかと思う。
そこで取るべき行動としては以下の3つをご紹介したい。(過去の自分がまさにこれをやっていたので)
1.これからの自分のジョブディスクリプションを作ってみる。
これからどんな軸で働いていきたいのか、世の中の求人情報やジョブディスクリプションとか見ながら、自分なりのジョブディスクリプションを作ることをオススメする。自分は何がやりたいか?それをどう書くと商品価値が高そうに見えるのか?そんな視点が大切だと思う。
2.ジョブディスクリプションを磨くためのスキルアップ投資をする。
もっと自分のジョブディスクリプションを尖らせるための投資をする。特に現場仕事から離れて管理職時間が長かった人は、今一度知ってるつもりだった自分の職域について、現場ベースでやり直すこともオススメである。
3.副業とか他社面接とか、自分を他に売り込んでみる。
できれば副業とかで、給料ではない個人事業としての報酬を得ながら、1社からの収入に依存しない収入モデルを作っていくことがこれからの時代は大切なのかな、と個人的には思う。
まとめ
今回のコロナの影響もあって、いろんな新しい働き方のトライアルもあり、今後ますます会社と個人の関係は変わっていくと思う。
そんな中で、「変化」という波を恐怖ではなく、前向きに捉える心持ちがあれば、何歳になってもチャンスは思い浮かぶじゃないかと、今年50歳になってしまう僕はそう考えている。