僕の中で、ビジネスモデルを企画する際に一番大切だよなぁ、と最近、意識しているポイントがある。
それは、思いついたビジネスモデルをどういった形態で運営し、発展させていくのか、という「マネジメントの仕組み(マネジメントモデル)」 の設計である。
極論、ビジネスモデルの企画自体はそんなに尖ってなくても、自社独自の強みとかなくてもいい。一番大切なのは、それを実際に現場で運用していくマネジメントの仕組みが、どこまで洗練されているかが、ビジネスの成否を決めるんだろうなぁ、と最近よく感じる。
例えば、マクドナルド。
世界No1といっていい外食チェーンビジネスの強みは、ハンバーガーの味ではなく、あのオペレーションシステム(マネジメントモデル)にある。
顧客の立場で考えた場合も、マクドナルドに行く一番の理由は、ハンバーガーが美味しいからではなく、便利さとか安心感から選んでいることのほうが多いと思う。
映画「ファウンダー」では、そんなマクドナルド創業時のオペレーションの試行錯誤が紹介されている。
他の外食ビジネスでいえば、大手の回転寿司チェーンもこういった、秀逸なオペレーションシステム(マネジメントモデル)を持った業態のひとつなのだろう。
「ビジネスモデル」は、収益がでる事業を実現させるための仕組み。
「マネジメントモデル」は、そんなビジネスモデルを発展させ、最適な状態で稼働し続けさせるための管理の仕組み。
「マネジメントモデル」を考えていく際に大切なことは、ノウハウを健在化させ、誰でもそれを簡単に真似ることができる状態に型化させていくことだと思う。
ローコストでビジネスユニットを複製、増産し、それらの品質を落とさず維持していく仕組み作りが、「マネジメントモデル」を考えていく上で目指すべきゴールなのだと思う。
逆にこれができないと、いつまで立っても個人の能力に紐づいた、職人とか専門家の仕事のままで、まったくビジネスとしてスケールしない。個人事業やコンサルタントのビジネスである。
今の流行りで言うと、DXとかAIとか自動化という要素が、今後のマネジメントモデルを開発するための必須の要素技術になってくるのだと思う。
なので、ある既存市場においては、今までになかったビジネスモデルや切り口で参入する、というより、今までと見た目同じビジネスモデルや切り口なんだけど、中身のマネジメントモデルがこれらの要素技術によってまったく違う運営形態で展開される、といったビジネスのほうが、成功する確率は高いように思う。(表側のビジネスモデルや切り口はすでに1位のプレイヤーの実績で証明されているのだから、あえて違う切り口で参入する必要がない)
なので、ITとかDX系のプレイヤーが既存市場に参入して、今まで提供していたサービスとまったく同じものを、もっと安く、早く、多く、高品質で展開していく、リプレイス的な構図が様々な業界でこれからさらに発生していくのだと思う。
ちなみに、この競争については、既存の市場の既存プレイヤーがIT実装してマネジメントモデルを進化させるより、そもそもITとかDX系の洗練させたマネジメントモデルを持っている企業が、新規参入して既存のビジネスモデルを模倣してシェアを奪うほうが、スピード的には早いような気がする。(それが嫌だと思う既存市場のプレイヤーは、参入障壁を上げる努力に力を入れると思うけど、それは単なる時間稼ぎでしかない)
とまぁ、話は脱線しましたが、ディレクターバンクもおかげさまで今年で8期目。
個人的な繋がりで始めたこの事業も、おかげさまである程度、成功体験が蓄積され、これからさらにチームの輪を大きくしていきたいと考えている。
マクドナルドや回転寿司のような仕組みを作るつもりはない(そんなものはできない)けど、さらに多くの顧客に価値提供できて、それを維持し続けられるディレクターバンクならではのマネジメントモデル作りのトライアンドエラーをこれから加速させていきたい。
今のところのディレクターバンクならではの「マネジメントモデル」のコンセプトは、現場スタッフ視点での「再現可能な成功モデルのフォーマット化」と、「成長や働く面白さを共感できる」仕組み作りかな、と思っています。