僕が前職の会社で経営企画部にいた時、田坂広志さんに会社の顧問に就いていただいた時期があった。
その時、毎月1回、田坂広志さんを入れた経営ボードメンバーとのフリーディスカッションの場があり、僕は何度か新規事業アイデアのプレゼンをする機会に恵まれた。
そのご縁で僕は田坂広志さんの本をほとんど読ませていただいた。ちょっとしたヒロシストである。
その中で特に影響を受けた本が「仕事の思想」という本である。
なぜ、僕たちは働くのか。なぜ、仕事に思想が必要なのか。そんなことをテーマにした本だ。
その本にはこう書かれている。
「仕事の思想というのは、若い頃に描いた夢や初心が、日々の現実に流されてしまわないための錨である」
「仕事の報酬は成長である」
「仕事が残すもうひとつの作品は、夢や共感に溢れた仲間との時間である」
このような考えは、僕にとっても仕事をする上で大切な前提となっている。
今回、会社を辞めて新しい挑戦を決断することも、そういった判断軸が自分の中にあった。
僕はこの本を今でも本棚の一番わかりやすいところに置いている。
この歳になって久しぶりに読み返しても、全く色あせていない。
そしてあの頃、田坂広志さんに向き合ってプレゼンしてた時のピリピリした緊張感が、今ではとても心地よい思い出になっている。
若い頃は、進んで生贄になってみるものである。