問題と課題の違い

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サラリーマン時代、いろんな研修を会社から受けさせていただいた。
研修で得た知識は、今でも僕の中で「困ったことが起こった時の対処法」として活用させていただいている。
その中で、今でもよく使うフレームワークに、「問題と課題の違い」というのがある。

それぞれの言葉の意味を検索すると、こんな感じ。

「問題」→ 現状にマイナスの影響をもたらす事実そのものであり、観測可能な客観的事実
「課題」→ 理想的な状態と現状とのギャップを埋めるための取り組み
U-NOTE 「課題・問題」の意味の違いとは?課題・問題の解決アプローチ方法より

問題というのは、良くない「事実」であり、課題とは、その良くない事実とあるべき姿の差を埋める「取り組み」を指す。
ここを混同して議論が進むケースにたまに出会う。
例えば、打ち合わせの中で、「わが社の課題は・・・」という話題になった時、よくよく聞くと単なる問題の羅列だったりするケース。
問題解決力というのは、いかに問題を課題のレベルに引き上げられるかという「課題設定力」にかかっている。
政治家が選挙で訴える「アジェンダを提示する力」もこの課題設定力の一種だと思う。
課題が設定できるということは、やるべきことが明確になるということだから、そこまでできれば問題は半分解決したようなものである。
なぜならば、後はそのやるべきことを実行すればいいだけなのだから。(と、それを教えてくれた研修の講師が言ってた)
課題を設定する時に大切なポイントは2つある。
まず大切なのは、そもそも「あるべき姿」が描けているかどうか。
「あるべき姿」が描けていなければ、問題は認識しているのだけど、課題が何なのか設定できない。
あと、わかりやすい問題ばかりが目に入ってきて、本当の大きな問題を見過ごす危険性もある。
さらにいうと、「あるべき姿」は自分にとって「なりたい姿」と重なっているかどうかもとても大切である。
例えば、自分の会社にとっての「あるべき姿」は、その中で働く自分たちの「なりたい姿」と一致しているかどうか?
「あるべき姿」は「義務」ではなく、自分も含めまわりの人たちもそれを目指したいと思う「魅力」になっていなくてはいけない。
次に大切なのは、現実とあるべき姿との差を、どの視点で測るかという点だ。
現実をより良い方向へ変えたいと思うのなら、出来るだけ課題は大きいほうがいい。
でも、課題は大きければ大きいほど、やるべきことは増える。
だから、あまりそれをやりたくない人たちにとっては、現実の問題に少々目をつぶっても、課題は小さいほうがいい訳である。
そこで肝になるのは、「そのあるべき姿に、本当に自分たちはなりたいのか?」という1つ目のポイントだ。
課題設定力の差というのは、スキルやセンスではなく、限りなく意識や視点の高さに比例する。
課題というのは最終的には、自分自身がこう現実を変えていく、という変革の意思表明を指す。
「問題」が客観的だとしたら、「課題」は主観的だ。
だから、それを話している人が一人称で語っていなければ、それはまだ課題には昇華していないな、という印象を受けてしまう。
昔、研修でこれをやった時、何度も自分が書いた当時の課題設定にダメ出しをくらって夜中まで居残りをさせられた。それは、多分、切羽詰まらせて、どこまで自分ごととして深い自問ができているかを鍛えさせるという、理詰めのパワ○ラみたいな研修だった。
後でその時のことを、研修の講師に聞いたらこんなことをおっしゃっていた。
「その課題設定の中身が正しいかどうかなんて、業界のことを知らないので、私にはわかりませんよ。ただ、その人はどの視点の高さで語っているかだけをチェックしてました」
それ、早く言ってよ。でも、その経験は今ではとても参考になっている。(感謝している)
ピンチはチャンス。課題は自らの成長の源なのである。