以前、会社勤めをしていた時は、企画やマーケティングの部署に長くいたので、その他の仕事に関してはあまり経験がなかったのだけど、独立してからはいろんな種類(ほぼすべて?)の仕事は一通りこなしてきた。
そんな中、自分で事業を作っていく上で、すごく大切だなぁ、と痛感した仕事が2つある。
それは、「営業の仕事」と「デザインの仕事」である。
「営業の仕事」に関しては、独立する前から「営業って、大切なんだろうなぁ」と思っていたので、まぁ、その通りと言えばその通りだった。
そして、もう一つ、「デザインの仕事」。
「デザインの仕事」って、要は見た目を整える、あのデザインの仕事である。
自社のホームページ「デザイン」であったり、お客様への提案資料の「デザイン」であったり。
この「デザインの仕事」って、いろんな人が思いつきでいろんな事を言いやすい分、偏見や誤解がうまれやすく、面倒な仕事(別に気にしなくてもいいかと諦めてしまう仕事)だと思ってしまう反面、ここをマメに取り組めるかどうかによって、ビジネスの広がりが変わってくると思う業務だと思う。
そんなデザインの仕事について、非デザイナーの僕が、なぜそこまで大切だと感じているか、このメモで自分の考えを整理していきたいと思う。
ビジネスをする上でデザインをする目的
ビジネスにおいて、デザインは、顧客提供価値の「本質」ではない。
本質は別のところにあって、その本質を相手にスッと理解してもらうための編集技法なんだと、僕はデザインのことを捉えている。
例えば、ラーメン屋さんが、チラシやホームページを使ってどうやって自分のところのラーメンの美味しさを見込み客に伝えることができるか?
それがビジネスを手掛ける上でデザインに求められる役割なんだと思う。
食べ物だとわかりやすいけど、これがBtoBのビジネスになると途端に難しくなる。でも、基本的な目的は同じである。
ただ、BtoCのビジネスとBtoBのビジネスだと、デザインの編集技法のコンセプトが違ってくる。
一般的なBtoCの場合は、顧客の感性や価値観に訴えかけるデザインに比重が寄るが、高額なBtoC商材やBtoBの場合は、課題解決や費用対効果に訴えかけるデザインに比重が寄る。
ビジネス上のデザインを思考していく上で必要な視点
ビジネス上でデザインを思考していく上で大切なポイントは、
- シンプル・イズ・ベスト
- 顧客視点
- 直感ではなく、論理的であること
だと個人的には考えている。
- シンプル・イズ・ベスト
目的は本質を相手にスッと理解してもらうこと。そのために、いろんな情報を付け加えすぎてはいけない。
究極のデザインとは、デザインがなくてもいい世界をデザインすること。なんか禅問答みたいだ。
- 顧客視点
どういうアプローチをすれば、相手の思考をこちらが意図する着地点に持ってこれるか?
ターゲットを明確にした上で、常にこの視点でクリエイティブの検証をすべきである。
- 直感ではなく、論理的であること
デザインは論理的である。人類の過去の集合知で、デザインという編集技法のロジックはすでに確立されている。
配色、レイアウト、文字フォントなど、ひとつひとつにどんな場合には何を使うべきか、理屈が確立されている。
逆に、これらの集合知ロジックで、ひとつひとつのデザインの意味が理屈にかなっているか、検証していきながら制作していくことによって、デザイン効果を上げることもできる。
決して、誰かの「もっとパーンっと、垢ぬけた感じで作ってみて」みたいな意見を採用していはいけない。
デザインはセンスがあるなしで決まるのではなく、こういった前提知識を持っているかどうかだけの差なのである。ネットでググれば(Canvaのテンプレをコピれば)誰だってセンスのいいデザインは作れる。
デザインが今後ますます必要になってくると思う理由
なぜ、デザインの仕事がビジネスにおいて今後ますます大切になってくると感じているか、僕なりに思う理由は以下になる。
- ビジネスの高度化、複雑化
- 購買者の評価視点の変化
- そもそも、多くの中小企業の商品には、そんなに差別化要素がない。
以下、それぞれについて僕の思うことを書いてみる。
- ビジネスの高度化、複雑化
今後、ビジネスモデルの高度化、複雑化が進み、本質の顧客提供価値が伝わりづらくなっていくいことから、デザイン的な編集技法の重要性がますます高まっていくような気がする。
分かりづらいものを分かりやすく伝えるニーズが高まっていると思う。
特にBtoBの商材なんかはとてもマニアックだし、ソリューションやSaaS商材とかになると無形商材になってしまうので、デザインでどういう世界をビジブルに伝えるかといった編集技法はとても大切な気がする。
- 購買者の評価視点の変化
SNSなどのメディアが主流となった今、購買者は本質の提供価値(コンテンツ)の良し悪しだけでなく、それをどんな人から買うか?等、コンテキストも含めた上で、購買決定をしていく時代になってきているような気がする。
供給側の情報やプロダクトが氾濫してコモディティ化していけばいくほど、その傾向は顕著になって、岡田斗司夫さんの言う「評価経済社会」的な価値観で、「何を買うか」より「誰から買うか」ということがより重点が置かれるようになると思う。
そうなった場合、商品やサービスのレベルのデザインにとどまらず、会社や自分といったレベルのデザインにも、デザインの領域が及んでくる。要は法人、個人のキャラクターデザイン(ブランドデザイン)もしっかり組み立てる必要が出てくる。
- そもそも、多くの中小企業の商品には、そんなに差別化要素がない。
最後にこれを言うと元も子もないのだけど、そもそも多くの中小企業の商品には、そんなに際立った差別化要素はない。
その中で顧客は何をもって購買決定をしているのか?
提供している会社の評判や実績であったり、価格面や購入のしやすさだったり、アフターサポートなどの付随価値の充実度合いだったり。
要は、本質的な商品の提供価値の外側の要因で決めていることが多い。
では一体、それらの情報をどうやって取捨選択して、潜在顧客に適切に伝えていくべきか?
ここにもデザインが担うべき大切な役割があるのだと思う。
例えばコモディティ商材を扱うBtoBビジネスの場合、商品の中身というより、経営者の人となりや、営業マンの対応の適切さやコミュニケーションスキル等を通じて、「この会社と取り引きすべきか?」を判断しているケースが多い。
その際、顧客は、事前に販売会社のホームページを見て、ある程度事前に「こんな会社だろう」というアテをつけて商談に挑んでいるケースが多い。
このホームページ上で、どんな情報をどのような形で提供しているかによって、実は実際の商談時の展開が大きく変わってくる。
このあたりの情報設計やUXもデザインが担うべき大きな役割である。
そして、ホームページや提案資料のデザインのクオリティ(わかりやすさ)を見て、顧客は、販売会社のコミュニケーションレベルや、気が利く会社かどうかの評価をしている。
まとめ・これからの経営とデザインの関係性
ということで、繰り返しになるが、デザインというのは単なるビジュアル制作ではなく、メッセージを端的に分かりやすく伝える編集技法だと僕は考えている。
どういう情報に編集(デザイン)していけば、自社の魅力を顧客にわかりやすく理解してもらうことができるか?
極論、YouTubeのサムネイルや、LPのファーストビューのデザインみたいに、そこで端的に魅力的な情報が提供できているかで勝負が決まる世界に入っているような気もする。
なので、今後、こういった視点でデザイン能力を上げていくことは、今後のビジネスの拡大に大きく影響していくのでは?と僕的には思っている。(特に中小企業とかフリーランスの方は)
ということで、以上、非デザイナーの僕が、ビジネスとデザインの関係性について考えたことを書いてみました。
実は、最近、Canvaの有償版にとうとう加入して、Canvaの便利さに感動して、このテーマを思いついた次第である。いやぁ、Canvaって便利ですね。