湘南ビジネスレビューというインタビューサイトを通じて、いろんな職業の方に取材していく中、得た気づきがあった。
それは「こだわり」という言葉の印象だ。
僕はそれまで「こだわり」というのは、他者に対して譲れない一線を指す、ちょっとわがままな言葉だと思っていた。誰からも理解されなくてもいいから、そこは自分の好きにしますよ、的な。
でも、彼らのいう「こだわり」は、どちらかというと自分に課したミッションのように聞こえた。
「覚悟」に近い響き。この世界に対して自分が貢献しようとしている、新しいコミットメントのようなイメージ。
そして、その価値をこの世界にいる人たちにどう伝えていけばいいか、どう共感してもらうか、試行錯誤している姿に出会った。
僕たちは取材の最後にいつも「湘南で働くとは?」というお題について、好きな言葉をスケッチブックに書いてもらって記念撮影をさせてもらった。
中には答えになってないような言葉を書く方もいたけど、そんな小さなことはどうでもよかった。
インタビューさせていただいた多くの方が書いた言葉は「出会い」、「どんな人と仕事をするか」、「どう湘南に貢献するか」といった主旨の言葉だった。
湘南ビジネスレビューの取材は僕たちにとって、いろんな世界を知る「大人の社会見学」のような時間だった。
どんな人のインタビューも楽しく、関心することばかりだった。
そんな中で「鎌倉古民家バンク」の主宰者であり、「北鎌倉燻煙工房」のオーナーである島津さんのインタビューの一節が、今でも印象に残っている。
まず、僕は何事もあまり深く勉強しないんですよね。
勉強から入ると過去の概念の枠にはまってしまって、それ以上のひらめきが生まれないんです。
そんなことより、自分がなりたい概念をはっきりさせて、それを世の中に言い続けることが大切なんじゃないかな、と思うんです。
すると、自分のまわりに自然とその概念を実現させる要素が集まってくるんですよ。人とか情報とかチャンスとか。
最近、ネットの技術もそうじゃないですか。この人に合う情報は何か?というのをグーグルやフェイスブックが察して、その人ごとに合った情報を優先的に出してくれますよね。そのためには、自分がなりたい概念をはっきりさせて、まわりに伝えていくことが大切なんじゃないでしょうかね。
鎌倉発・ネットから生まれた手作りスモークチーズのお店 ~北鎌倉燻煙工房(きたかまくらくんえんこうぼう)~
僕は湘南ビジネスレビューの活動を通じて、ビジネスモデルからではなく、まず自分のなりたいイメージと仲間を軸に、これからの働くことをデザインしていこうと思った。