うまくいかない新規事業プロジェクトのよくある景色

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会社勤めをしていた頃、新規事業の立ち上げ部署で、いろんなプロジェクトのマネジメントをさせていただいた。

そして、今、ディレクターバンクでは、外部のパートナーの立場から新規事業の立ち上げ支援をさせていただている。

新規事業というのは「千三つ」の世界である。だから、たいていの新規事業プロジェクトはうまくいかない。

当たり前っちゃ当たり前だけど、既存の勝手がわかる環境から飛び出して、新しい世界を切り開く仕事なのだから、新規事業というのは、うまくいかないのが初期値なのである。

新規事業はうまくいかないのが当たり前である。

さらに、「うまくいっていない」新規プロジェクトを、仕分けしてみると、

「健全な方向に向かって、もがいている途中にあるもの」と、

「不健全な状態に陥って、停滞しているもの」

に大別される。

「健全な方向に向かって、もがいている途中にあるもの」に関しては、外部パートナーの立場として、「できるだけ多く一緒にもがいて、成功確率を上げる」ための伴走やノウハウの提供を心がけている。

一方、「不健全な状態に陥って、停滞しているもの」に関しては、できるだけ正直に、外部の立場からそういう風に見えていることをお伝えして、そこから脱するための再構築のお手伝いをさせていただいている。

次に、不健全な状態に陥っている、うまくいっていない新規事業プロジェクトにありがちな景色をいくつか紹介しながら、どのような切り口で新規プロジェクトを運営していくべきか、僕なりの考えを書いてみたいと思う。

うまくいかない新規事業プロジェクトのよくある景色

以下、僕なりに思いつく景色をリストアップしてみた。

  • 現場にプロジェクトリーダーが不在。もしくは、プロジェクトリーダーが現場に降りて仕事をしていない。
  • 経営陣の当事者意識、コミットメントが低い。第三者的な問題点の投げかけが多く、現場を逆に硬直化させている。
  • 現場が受け身でプロジェクトの可能性に対して疑心暗鬼。わかりやすい作業しか手を付けない。顧客に会うことや営業的な活動をしていくことに腰が重い。
  • 現場のやる気のある1人の若手社員の頑張りやセンスだけで持ちこたえている新規事業プロジェクト。組織としてのバックアップ体制やマネジメントができていない。
  • 時間軸と成果目標が曖昧なまま、進行している新規プロジェクト。こまめに役員会に現状報告と次のマイルストーンの成果計画を出すことになっていて、結果、報告資料作成ばかりしている。
  • PoC(概念実証)がない状態で、経営陣から、直近の売上目標だけトップダウンで課せられている新規事業プロジェクト。
  • 失敗を避けるための社内議論が多く、なかなか実行フェーズに移らないプロジェクト。実行する前に仮説検証ロジックが「腹落ちするかどうか」というメンバー内の合意形成に必要以上にこだわっている。ブレーキをかけるメンバーが多いプロジェクト。
  • 戦略、ビジネスモデル、自社のこれからのあるべき論優位で、肝心の商品が顧客視点で磨けていない新規事業プロジェクト。
  • 相手にしたことのない、ステレオタイプのイメージだけの顧客ペルソナにモノを売ろうとしている新規事業プロジェクト。
  • 今までと違う取り組みにこだわるあまり、既存部署の協力が得られず、自社の強みがどこにも活かされていないまま進行している新規事業プロジェクト。
  • ただただ開発、制作を続けているプロジェクト。いいwebサイトやアプリが実現すれば新規事業が立ち上がると信じている。
  • 新規プロジェクトチームの中で、細かい役割分担ができすぎていて、お互いの領域に口が出せない雰囲気ができているプロジェクト。
  • 地についた営業計画がないまま、やったことのないwebマーケティングだけでなんとか売り上げを作ろうとしているプロジェクト。

以上、ざっと上げてみた。僕なりに感じた、うまくいかない新規事業プロジェクトのよくある景色はこんな感じである。

うまくいかない新規事業プロジェクトが生まれる背景には何があるのか?

なぜ、このような景色が生まれるのか?

以下の二点に原因は集約されると思う。

  • 経験したことがない領域の仕事だから、動き方がわからない。
  • プロジェクトが失敗した時の責任を取りたくないから、リスクを取りたくない。(そもそもそんな仕事をしたくない)

前者についての解決方法は簡単である。経験やノウハウのある外部人材を活用して、一緒に動いて経験値を貯めればいい。

問題は後者である。

事業の成否はそれを手掛けるリーダーで決まる。

リーダーは、経験や知識ではなく、マインドセットや組織内での信頼関係の強さによって、初めて意味のある大きな一歩(ムーブメント)を作り出すことができる。

昔、ある上司から言われたことがある。

「新しいことを始める時は、とにかく大騒ぎして社内を大きく揺するんだよ。すると何かが出てくるから」

ある意味本質を突いてるなぁ、と今でも思う。

新規事業が成功するかどうかの肝は、リーダーの人選と、新規事業に挑戦していける、心理的安全性の高い組織風土作りに大きく起因する。

要は誰がやるか?ということと、新規事業を進めていくにあたって、関係者間の信頼関係や動機づけがきちんとできているか?ということである。

これらの背景をふまえて、新規事業プロジェクトを「停滞」させずに、少なくとも、「健全にもがける」状態にするためには、以下の5つの要素が必要だと僕は考えている。

健全な新規事業プロジェクトにしていくための5つのポイント

1.「積極的な挑戦で失敗することを是とし、加点評価する」組織風土、人事考課運用ができているか?もしくは、経営トップが約束しているか?

端的に言うと、その会社が「心理的安全性の高い組織」になっているかどうか、がとても大切だと思う。

心理的安全性については、過去、このような記事を書いてみたのでよかったらどうぞ。

2.新規事業プロジェクトのリーダーに適切な人材をアサインできているか?

僕的には、新規事業プロジェクトのリーダーについては、現場でチームメンバーと試行錯誤しつつも、率先垂範できる人材がふさわしいと思う。

知識や経験ではなく、マインドセットとメンバーからの信頼を得られる人物かどうかが大切。

「可愛い子には旅をさせろ」ではないけど、その会社にとって、将来的な経営幹部候補として成長してもらいたい人材をあてるべきだと思う。

3.新規事業プロジェクトの目的、目標、時間軸は明確になっているか?

経営トップからの「面白そうだからとりあえずやってみろ」的な、ばっくりとしたオーダーは、結果的には現場を疲弊させることに繋がる。

新規事業プロジェクトの目的、目標、時間軸といったルールは、できるだけ最初から決めておいたほうがいい。

目的と目標は明確になっているが、それが時間軸にきちんと落としきれていない(経営陣と握りきれていない)プロジェクトをたまに見かけることがある。

中には、まだ事業仮説の検証のフェーズなので、定量的な目標値が設定できていない、というプロジェクトもある。

それはそれで、いつまでに事業仮説の何を検証し終えて、どんな状態になっていることを目標にするのか?ある程度定性的でも構わないと思う。期間がきちんと区切れているかどうかが、ここではとても大切だと思う。

4.実行に必要な予算と権限をリーダーに与えられているか?経営陣がその権利を守れているか?

新規プロジェクトの目的、目標、時間軸が明確になれば、その活動に必要な予算と権限が明確になる。

経営陣はそれらの予算や権限をプロジェクトリーダーに与え、その権利が現場できちんと行使されているか?例えば既存の他部署から脅かされていないか?見守る必要がある。

なんの予算も権限もなく、既存の他部署からも「今期の売上予算もってなくて、気楽な部署だな」的な白い目で見られがちな、新規プロジェクトチームを過去に見かけることがあったので。(苦笑)

5.外部の人材やアセットをうまく活用して、時短なプロジェクト設計がされているか?

新規事業プロジェクトで一番意識しなくてはいけないコストは、キャッシュアウトするお金ではなく、時間である。

そのためには、ゼロから内部メンバーで経験を積むのではなく、最初から経験やノウハウのある外部人材に伴走してもらうとか、フルスクラッチでアプリケーション開発するのではなく、ありもののSaaSでプロダクトマーケットフィットを素早く見つける、といった手法を取るべきだと思う。

新規事業プロジェクトのもうひとつの投資対効果とは?

新規事業プロジェクトの投資対効果は、新規事業自体の取り組みから得られる直接的なリターンだけでなく、中長期的には、そこで経験を積んだ人材の成長によって還元されるものが大きいと僕は考えている。

なので、外部パートナーとして新規事業の立ち上げ支援をしている僕たちは、いつも2つの成果を意識しながら、ご支援をさせていただいている。

  • 支援させていただいている新規プロジェクトの目的達成
  • サポートさせていただいている個々のプロジェクトのメンバーの人たちの成功、成長の支援

後者については、ベタに、サポートさせていただいている新規プロジェクトのリーダーにはぜひとも出世してほしい、と心から願って、日夜全力でプロジェクト支援させていただいてる次第である。(マジで)

ディレクターバンクでは、もやもや〜っとした状態の新規事業企画フェーズから、現場で試行錯誤している実行検証フェーズまで、クライアント様のお悩みに合わせた新規プロジェクトの支援をさせていただいているので、よろしければお気軽にご相談ください。

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