「嫌われた監督」のプロフェッショナル観

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今さらながら「嫌われた監督」を読んだ。

落合博満さんの中日監督時代の8年間を題材にしたノンフィクション。昨年のノンフィクション系の賞も数多く受賞したヒット作である。

プロ野球にあまり関心のないビジネスマンからも多くの支持を集めているという。

そう言う僕も、プロ野球にあまり関心のないビジネスマンである。

まわりの方から「この本が面白い」という評判を聞いたので読んでみた。

読んでみてどうだったかというと、とても面白かった。

プロ野球というエンターテイメントの舞台裏を楽しめるだけでなく、落合博満さん的プロフェッショナル観に共感するところが、この本がヒットしている魅力なのだと思った。

そのプロフェッショナル観は、野球だけにとどまらず、様々な職業においても共通する視点だと思う。

ということで、今回は、この本で、僕なりに共感したポイントをいくつか紹介したいと思う。

「結果を出す」ことへのこだわり。そのための合理的な判断。

「プロだったら結果を出すのが当たり前」

落合さんはことあるごとにこのような発言をされている。

また、一方でこのような発言もされている。

「その当たり前のことをやるのが一番難しいんだ」

これらの言葉のベースには「プロ=結果を出すことで報酬をもらう人」という、落合さんとしてのシンプルなプロフェッショナルの定義がある。

そして「プロ=結果を出すことで報酬をもらう人」という定義から、「プロだったら結果を出すのが当たり前」と、前述の発言に置換されていくのである。

さらに、そもそもの「報酬をもらえるような結果」というのはレベルが高いハードルであり、それを当たり前にやるところがプロの凄いところなんだ、と、さらに続く発言につながっていく。

プロの監督の立場としての彼は、結果を出すために、常に合理的な判断をする。

例えば、打撃ではなく投手を軸とした試合の組み立て方。点を取るより、点を取らせない野球という基本戦略である。元・三冠王打者である彼自身が「打撃は水物」とわかっているがゆえの合理的な判断である。

中日ファンからすると、地味な野球に見えてしまうが、そういった批判もあることも承知の上で彼は「結果を出す(勝負に勝つ)」ために合理的な判断を常に下していくのである。

このような、結果を出すことへの意識の高さやこだわりが、彼のプロフェッショナル観の中核にあると思った。

群れない。プロとしての相手に対するリスペクト

「プロだったら結果を出すのが当たり前」と言いつつも、その当たり前のことができなかった選手を、彼は表立って咎めたりはしない。

一方で、当たり前のことを成し遂げた選手に対しても、表立って誉めたりもめったにしない。

ただ、プロとしての当たり前の仕事を成し遂げた選手に、「ご苦労さま」といった言葉を送るのみである。

それは、「その当たり前のことをやるのが一番難しい」ということを誰よりもわかっている、彼なりの相手に対するリスペクトとねぎらいの言葉なんだと思う。

そこには、昔の体育会系の世界にある「監督=先生」「選手=生徒」のようなタイトな関係はない。それぞれがプロの立場として、対等かつ一定の距離感がいつもそこにある。時に、そのコミュニケーションがドライな印象を周りに与えてしまったとしても、それが彼の流儀なのである。

彼は監督時代、一貫してチーム内の体罰、暴力の禁止を厳命してきた。

そして、前監督の星野さんと180度違って、選手とは一定の距離を取り続けた。

それは、今までの「体育的な」チームマネジメント手法に対して、彼自身否定的であったこともあるだろうし、さらにプロの世界なら、まず、自分自身が自立した「個」でなければいけないという考えがあったのだと想像する。

「プロ野球選手は個人事業主」。

彼のそんな発言には、中日ドラゴンズのムードを、今までの馴れ合いの関係から、それぞれの個の実力を常に評価し、お互いに尊重し合える関係に変えていきたいという想いがあったのかもしれない。

群れない。すべてのプロをきちんとプロとして接していく。それがプロの中で自身もプロとして達振る舞っていく彼のスタンスなのだと思う。

取り組むべき課題の見極め。現場視点で本質を見抜く力。

プロフェッショナルとしての彼の凄さは、現場視点で取り組むべき課題の見極め、その本質を見抜く洞察力にあると思う。

勝つために何が足りないのか?どこに自チームのウィークポイントがあるのか?

ここでは割愛するが、落合さんの監督時代の現場での徹底的な観察力が、本書ではいくつかのエピソードとして紹介されている。

彼は毎日、グラウンドの同じ場所に立って、選手の動きを徹底的に定点観測し、本質を捉えた課題を設定していく。

彼は自分の目で見たことをベースに、取り組むべき課題を見極め、その課題に対してどのように取り組むべきか、自分の頭で考え、解決のための仮説を作っていく。

そこには、「情」や「勘」はなく、客観的な現場の事実に基づいた彼なりの「理」がある。

そして、その思考プロセスや判断の中には、今までの常識や前例やしがらみが入りこむ余地はない。

このあたりの現場視点での本質を見抜く力は、本当に凄いなぁ、と思った。(詳しくは書籍を読んでいただければと!)

まとめ。まず個であること。そして自分の理を作ること。

最後にまとめ。この本を読んで僕なりにプロとして大切だなと再認識したポイントは、以下の2つである。

まず「個」であること。

自分が自立した「個」として仕事に貢献できているか?

報酬の対価となるコミットメントを、きちんと自分の力でマネジメント、実行できているか?

これからの働き方を考えていく上でもとても大切な視点だと思う。

そして自分の「理」を作ること。

成果を出すために、何に取り組むべきか?どういった課題設定をすべきか?

成果を出すための仮説を自分の頭で考え抜くこと。

昔、よく謎掛けをする上司がいた。正直面倒だなぁ、と思った。

でも、今になるとなんとなくわかる。

自分で考えてたどり着いた答えじゃなきゃ、その答えの価値に気づかない。

誰かに教えてもらった答えは、ときにその価値に気づかずに、適当にあしらってしまうことがあるのだ。

常に自分の頭で考えて、成果にたどり着くための自分なりの「理」を作ること。

そのためには、今までの常識や身の回りの世論はまず疑うこと。

以上である。

「個」と「理」。

自分で口に出すと「小鳥」みたいになっちゃうのだが、コトリ、大切だなと思う。

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