AIから学ぶグラデーションのある世界の働き方

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最近、仕事の中でAIと対話する機会が増えてきた。

その中で、僕がAIに対してよく感じるのは、「こいつ、なんて調子いいやつなんだろう」という感情である。

たとえば僕が何かアイデアを出すと、「さすが棟近さん! 素晴らしいアイデアですね!」なんて調子で、基本、褒めから入ってくる。

それでいて、こちらが「うーん、ちょっと違うな」と言えば、「了解です!」と、まったく気にする素振りもなく、すぐに新しい提案を出してくる。自分のアウトプットが却下されることに対して、感情的になることもなければ、反論もしない。

調子がいい、とも言えるけれど、最近では、むしろ「AIって懐が深いのかも?」と思えるようになってきた。

僕自身、ここまで懐深く相手に対応することってできているだろうか?

自分の過去の考えやアウトプットにこだわるあまり、感情的になったり、頑固になったりしていないか?

視野が狭くなって、大局を見失っていないか?

そんな問いが、AIとのやりとりを通じて、ふと自分の中に立ち上がるようになった。

AIって、いろんなことを僕に教えてくれる。

AIって、コンピューターなので、一見、ロジカルに動いているように見えるのだけど、LLMの特性上、基本的にはその時の「ノリ」で、情報を処理している。(すごく端折って言うと)

なので、毎回、アウトプットが微妙に変化する。

そんな折、最近「二項動態」という考え方に出会った。

これは、対立するように見える2つの概念も、実は一体の両面であり、そのあいだにはグラデーションのような中間領域が存在するという考え方だ。そして、そのバランスは環境や状況によって常に変化している。つまり、正解も常に流動的であり、固定的なものではないという考え方でもある。

かつて会社員だった頃、ロジカルシンキングがもてはやされた時代があった。(今でもそうだと思うけど)

物事を論理的に整理し、わかりやすく伝える。それは、ビジネスパーソンとして必要不可欠なスキルだったし、僕自身も随分と鍛えられた。

ただ、ロジックというのは、あくまで物事を簡略化して共有しやすくするために作られたプロトコルである。

現実をレゴブロックのように単純化し、再現性のある仕組みにデグレードしたものにすぎない。

物事をロジック化していくプロセスの中で、言語化できない大切なものが抜け落ちてしまうこともある。

ロジックというのは、便利な箱だけど、現実の世界では、そんな単純な「二項対立」では割り切れないことも多い。

なので、単純化した「二項対立」で何でも解き明かそうとしている人に対しては、僕個人ちょっと違うんじゃないかな?と思うこともある。

「二項動態」の考え方で言うと、AかBかという問いに対しては、常に「どちらもあり得るし、その間もある」というのが真実であり、両者を切り捨てることなど本来できないのだ。

自分で会社を経営するようになってから、そんなロジックだけでは立ち行かない場面に幾度となく直面してきた。

ロジカルに経営判断を下したとしても、ときには、過去の判断を覆さなければならないこともある。

「朝令暮改」と言うとネガティブな印象を持たれがちだが、ある尊敬する先輩経営者が「朝令暮改は、経営に求められる大切な能力だ」と言っていたのを今でも覚えている。

今日と明日では状況がまるで違う。顧客の反応も、市場の空気も、世の中の価値観も、あっという間に変わってしまう。

そんな中で、昨日決めたことに固執していたら、前に進めないどころか、組織全体がフリーズしてしまう。

世界は、グラデーションでできている。

白か黒か、右か左か、ではなく、その間の無数のグレーゾーンの中で、僕らは日々判断し、行動している。

経営においても、人間関係においても、家庭においても。その都度、その状況に応じて、何を優先すべきかを見極めながら前に進んでいくことが求められる。

情報量が膨大になり、脳内に描かれる仮想の現実世界がますます複雑化している今の時代で、過去の枠組みにとらわれない「二項動態」的な物事の見方、柔軟な都度判断が、ますます重要になっているように思う。

普遍的な正解などもともと存在しないのかもしれない。とにかく前に進むために、今、最適な判断を細かく繰り返していく。判断を途中で変えてもいい。

そんな視点で見ると、AIの「調子の良さ」は、常に変化に柔軟に応じている、「二項動態的な態度」の一例なのではないかと思う。

そして、これからの働き方においても、すべてが固定化されたルールで定義された巨大組織よりも、最小限の価値観を共有した上で各自が自立して動く少数精鋭のチームの方が、圧倒的にビジネスの推進力が大きいのではないか、と感じている。

そういう意味では、人間はもっとAIっぽい働き方をしてもいいのかもしれない。

ということで、これからも、そんなグラデーションのある世界を楽しみながら、クールに、しなやかに、マイペースに仕事を楽しんでいきたいと思う。

そして、たまには、逆にAIをきちんと褒めてあげようと思う。

p.s.このメモのスマートな言い回しになっている部分は、AIにライティングを手伝ってもらった。どうも、ありがとう、AI。