新しいサービスを考えるときに気をつけたほうがいいこと7つ

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Webマーケティング支援の仕事をしていると、外部のWebマーケティング系のSaaSツールや新規サービスを開発している方から提案を受けることが多い。

そして、僕自身も新しいサービス企画を常日頃から考えている立場でもある。

そんな中で、新しいサービスのネタを考える時に、こういったところを気にしておいたほうがいいなと最近感じていることを、今回はメモとしてまとめておこうと思う。

基本的なことばかりなんだけど、ついつい蔑ろにしてしまいがちなポイントを、自戒の念を込めて整理してみた。

新規サービスを考えている方にとっても、何らかの気づきにつながれば幸いである。

ということで、以下、「新しいサービスのネタを考えるときに気をつけたほうがいいこと7つ」である。


1. 世の中の文脈にうまく乗る。でも埋没しない“軸”を妄想する

どんな業界でも、そのときどきで注目されている「文脈」がある。

今なら、例えば(業界関係なく)「AI」という文脈がかなり熱い。

最近提案を受ける商材の多くはAI文脈で語られていることが多い。(ホント多い!)
「AIで自動化」「AIで効率化」「AIで予測」といったキーワードは、定番化してきた感すらある。

世の中の関心事である文脈を踏まえるのは大切。でもその分、競合も多い。なので、ただ“乗る”だけでは埋没してしまう。

大切なのは、その文脈にどういう乗り方をして、埋没しない、ユニークなポジションを獲得するか?という企画力だと思う。

いろんな発想法があると思うけど、僕的には、「今の文脈の先にある、未来の課題を先回して創造しておく」というのが、ひとつの発想法としてはあるのかな、と思っている。

たとえば、これからAIサービスが増えてくると、「そもそも、どのAIをどう使えばいいかわからない」という人が増えてくる。だったら、それを助ける「AIツール選びのためのAIサービス」があってもいいんじゃないか?みたいな。

世の中の推進力をうまく利用しながら、いかに独自のポジショニング(まだ誰にも取られていない領地)を先取りするか?

当たり前といえば当たり前だけど、新しいサービスのネタを考える時の大切な視点だと思う。

2. 「誰の」「どんな痛み」を解消するサービスなのか?

アイデアをコンセプトに落とし込む時、結局ここが一番大事な芯になるのだと思う。

ありがちなのが、実現できる機能やサービスを、提供者側の視点で語ってしまうパターン。

機能やサービスは、顧客にとっては課題を解決するための手段でしかない。

そもそも、その前段となる顧客課題に共感が得られないと、手段に対する関心は得られない。

「誰の」「どんな痛み」を解消するサービスなのか?それを高解像度に描けているかどうかが、すべての起点。

「採用に困っている」では漠然としすぎる。

「求人広告に100万円かけたのに、応募がゼロだった」みたいな具体的なエピソードにまで掘り下げることで、はじめて相手の共感と、その先の解決策であるサービス提案を聞く興味が生まれる。

ここの物語をどう主人公の視点で作れるか、がコンセプト設計の肝だと思う。

3. その痛みを“リアルに語れる立場”にあるか?

意外と見落とされがちだけど、このポイントもすごく大事。

「誰の」「どんな痛み」を解消するサービスなのか、をリアルに掘り下げていく際に、そもそも企画当事者としての自分は、その痛みを本当に理解している立場に立てているのか?という、説得力である。

例えば、若いサービス企画担当者が「シニアをターゲットにした新規サービス」を提案しても、どこかリアリティがないように映ってしまう、みたいな。

語る内容と、企画する自分自身のポジショニング(キャラクター)の辻褄があっているのか?

そのためには、実際にその現場に行ってなにかを体験してみたりして、一次情報としてのネタ(エピソード)を持っていることが非常に大切だと思う。

ターゲットの課題を語る時、自分の体験談から物語を始めると、ぐっと説得力があがる。

「なぜ、そのサービスを提供したいと思ったのか?」といった、自分自身のキャラ設計は、サービス企画時の大きな構成要素になると思う。

4. わかりやすい一言で表現できるか?

これは昔サラリーマン時代に上司からよく言われた「ラッピングが大切」という視点。

つまり、「一言で言うと、それって何?」がきちんと言えること。

特に新しい領域のサービスは、どうしても説明が冗長になりがち。
けれど、それを一言で言い切る力があると、相手の頭にも心にもスッと入る。

できるだけ誰でも理解できる安易な言葉で表現する。

たとえば、「AIサービスのレビュープラットフォーム」よりも、「AIサービスの食べログです」の方が、わかりやすい、みたいな感じ。

とにかく、ベタな一言でタグ付けしてしまうこと。

5. 機能は足し算じゃなく、引き算で考える

企画が不安だと、ついつい機能を盛り込みたくなる。

でも、初期段階ではシンプルな仮説と機能で勝負するのが王道。

理由は明快で、機能が多いと、どこが刺さってどこが刺さらないのかが見えにくくなるから。

あえて機能は削って、課題解決に本質的なアプローチをしている機能に絞って出す。その上で、ユーザーの反応を観察する。

最初にうまく刺さらない原因は、「機能(ソリューション)が弱い」のではなく、「ターゲットや課題(ニーズ)の解像度が低い」ことが原因の場合が多い。

ニーズの解像度は高く、ソリューションはシンプルに。

それでPMF(プロダクトマーケットフィット)が見つかれば、機能を充実させていくのではなく、どちらかというとUX(顧客提供体験)を磨いていく。

そんなのが理想なんじゃないかな、と思う。

6. 試しやすい“入り口”と、登りやすい“階段”を用意しておく

どれだけいいサービスコンセプトだったとしても、実績がないと、最初からいきなり契約してくれるお客様を獲得するのは難しいかもしれない。

なので、「とりあえず使ってみる」「まずは体験してみる」といった、試しやすい入口を用意しておくことはとても大切。

「松・竹・梅」のように、段階的なプランを用意したり、無料トライアルコースを用意したり。

そして、その後のナーチャリング(カスタマーサクセス)のシナリオも用意しておくことも大切。

顧客視点でどんな登りやすい階段(成功体験)を用意しておくかが、PMFのフェーズからビジネス化のフェーズに移行していけるかどうかの重要成功要因となる。

いろんなフックはあると思うけど、例えば、無料版を使って自分がいいなと思って、複数人で使おうとしたら有償化するコースに移行しなくてはいけない、とかは、現状でもベタにあるナーチャリングシナリオだと思う。

そんな入口設計とナーチャリング設計は、あらかじめセットで考えておいたほうがいいと思う。

7. 最初の顧客接点は“狭く、深く”

最後はマーケティングの話。

新サービスをリリースすると、「リスティング広告回すか」「SNSでバズらせるか」みたいな“広く打つ”戦術をとりたくなる。

でも、当初はできるだけ一対一でリアルに顧客と向き合う接点を創るほうが大切だと思う。

濃い接点をいくつか作って、まずはフィードバックと実績を獲得する。

その方が、確度の高い改善ができるし、初期段階のPDCAが回りやすい。

これは昔からよく言われる「ランチェスター経営」的な話だけど、結局この地道な積み上げのほうが、結果的に強いサービスを育てる近道になるのだと思う。

そこで、ターゲット顧客の課題に対する共感のストーリーがリアルに刺さるようになれば、それを効率的に再現させていく装置として、Webマーケティング施策に落とし込むのがいいと思う。


以上である。

新しいサービスって、アイデアを出す瞬間は楽しい。
けど、現実の立ち上げは泥臭いし、反応がなくて凹むことも多い。

でも、そこで慌てて機能を足したり、ターゲットを変えたりする前に、
「誰に、何を、なぜ届けたいのか?」
そして
「それを語る自分は、どういう立場なのか?」

この2つを磨いていくことが、やっぱり大切だと思う。

商売というのは、人間と人間のコミュニケーションである以上、理屈だけでなく、ベースとなる共感や信頼が引き出せないと、結局、取り引きは成立しないと思っている。

相手の視点に立って、とにかく妄想してみること。

そこからブレずに、誰かの課題解決につながる新しいサービスをこれからも作っていきたいと思う。

以上、新規サービスを考えている方にとっても、何らかの気づきにつながれば幸いである。

また、なにか新しい気づきがあったら、このメモに付け足していこうと思う。

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