最近、駅ナカのコンビニで、買い物をしようとしたら、アルバイト店員さんに、
「ただ今、無人レジで購入されると全品5%引きになるキャンペーンをやっているのですが、いかがですか?」
と言われた。
一瞬、何を言っているのか意味がわからなかったけど、確かに、店員さんが立っているレジの奥に、無人のレジが設置されている。
「あ、そんじゃ、無人レジでやってみます」
僕はそう言って、無人レジに移動し、商品のバーコードを無人レジに読み取らせ、Suicaをかざしてみる。
「ピー」
エラー音だ。Suicaの残高不足という表示が出ている。
「すみません、Suicaが残高不足でした」
先ほどの店員さんのところまで戻ってそう言うと、
「それでは、こちらのレジでSuicaに現金をチャージしてから、無人レジで精算しますか?」
と彼女が言った。また、一瞬何を言っているのか意味がわからなかった。
「あ、いや、いいです。ここで現金で買います」
僕はそう言って、彼女に現金を渡して店を出た。店を後にしながら、無人レジキャンペーンをしているレジの店員さんってシュールだなぁ、と思った。
昔、Suicaが浸透する前に地元の駅前にあったキオスクのおばさんは、駅に向かって歩いてくるサラリーマンの顔を見分けながら、常連客が買う新聞とか雑誌を瞬時に判別して手元に用意しながら、マラソンの給水所のスタッフのように、華麗に売りさばいていた。
しかも小銭の受け渡しもとてもスムーズに。
当時のキオスクのおばさんはレジなんか打ってなかった。もしかしてあの時代が一番キオスクが尖っていた時代なのかもしれない。
でも、数年前にそのキオスクもなくなってしまった。
今のキオスクはレジで商品バーコードを読み取って、Suicaで決済している分、明らかに昔よりやりとりが遅くなっている。しかもSuicaが「ピッ」となる寸前のコンマ何秒かは今だになぜか緊張する。(やましいことは何もないのに)
そして次はSuica+無人レジの時代だ。
無人レジの扱いがわからずに精算にオロオロしていると、後ろに並んでいる人からすごいプレッシャーをかけられる時代の到来である。
そう、僕たちはいつも、新しい利便性の壁の前で試されている立場なんだ。
そして、そんな無人レジを通過できなかった負け犬の遠吠えなど知る由もなく、今日もあのアルバイト店員さんは淡々と無人レジ時代を切り開いていくのである。