自社の営業体制を仕組み化する5つのステップ

  • LINEで送る

ディレクターバンクも6期目に入った。

おかげさまで、Webマーケティング運用を支援するクライアントも増えてきたので、昨年から体制強化に取り組んでいる。

特に意識して取り組んでいるのは、営業体制の仕組み化である。

昨年までの営業体制は、僕と鶴久さんの創業メンバーがメインで新規営業に取り組んでいた。

そもそも僕自身が営業出身ではないので、いろんなところで見聞きしたものを自分なりに「こうなんじゃないかな?」と妄想しながら実行し、それに修正をかける、ということを繰り返しながら営業のワークフローを作ってきた。

5年くらいそんなことを繰り返し、ディレクターバンクなりの営業スタイルができてきたので、僕や鶴久さん以外のメンバーでも実行できる営業体制つくりに現在、取り組んでいる。

営業体制の仕組み化については、ここ数年のDX化の流れで、デジタル化が必須になっている。

一方、イメージ先行で、なんのために営業体制を仕組み化するのか?デジタル化しなくてはいけないのか?自分たちの仮説がないまま、なんとなく「仕組み化」「DX化」が進められている現場も多いような気もしている。

答えはひとつではないと思うし、そもそも立てた仮説に対する答え合わせもしづらいテーマであることは理解している。

おそらく、このテーマ(営業体制の仕組み化)に関して、僕と同じようにうねうね考えながら試行錯誤している人も多いのではないだろうか?

そんなことを想像しながら、今回、自社の営業体制の仕組み化について、今の僕なりに考えていること、実際に取り組んでみたことをこのメモに書いていきたいと思う。

僕のトライアルも始まったばかりなので、今後変わっていくところが出てくるかもしれないけど、同じような課題を持っている方にとって、何らかの参考になれば幸いである。

自社の営業体制を仕組み化する5つのステップ

Stap1.なぜ営業体制を仕組み化する必要があるのか?その本質を捉えておく。

まず、営業体制を仕組み化する目的をしっかり定めておこうという話である。

なぜ、営業体制を仕組み化するのか?(最近の言葉でいうと)DX化するのか?という問いを投げられたら、どう答えるだろうか?

「限られたリソースで、売上をさらに伸ばしていくため」

「営業効率を上げるため」

といった答えが普通、考えられるかもしれない。

もちろん、これらの答えは間違っていない。しかしながら、本質が触れられていないと僕は思う。

営業体制を仕組み化する目的の本質とは、

「4番打者に頼らない、負けにくい組織を作ること」なんだと考えている。

属人的から組織的なものに営業を平準化させていく取り組みなんだと僕は考えている。

4番打者営業マンの売上が落ちてもいいから、将来的に、組織全体での売上が底上げするための環境作りを目指すこと。

ナレッジを顕在化させた上でさらに単純化し、共有しやすいコンポーネントに再編集していくことから、追加メンバーのオンボーディングもしやすい。マネージメントコストも下げられる。大勝ちしないんだけど、負けにくい組織。

例えて言うなら、同じ寿司屋でも、腕のいい料理人の技量に委ねずに、誰でも簡単なトレーニングで美味しいお寿司が出せる回転寿司店を作っていくようなイメージ。

営業の仕組み化というのは、言ってみれば経営者やマネジメント側のエゴであって、現場で働く人にとっては、自分流に効率化した今までの仕事の進め方を手放さなくてはならないので、逆に非効率なのである。

今まで腕のいい4番打者に頼っていた現場が、このような仕組み化に取り組む場合、短期的には売上や営業効率を落とすかもしれない。

腕のいい営業マンはそれを機に退職するかもしれない。

それらを我慢して中長期の成長や、成長のための組織のボトルネック解消のために、どこまで仕組み作りにこだわって挑戦し続けられるかが肝である。

なぜ営業体制を仕組み化、組織化するのか?このような本質を捉えていないと、現場の抵抗にあって、あっさり骨抜きになってしまうかもしれない。

「誰でも簡単にオンボーディングできる組織」というのは、それ自体がストックビジネスの源泉となり、結果、スケールする事業組織をつくりあげることができる。

小学校の国語の教科書でならった「スイミー」のような戦略である。

Step2.自社の顧客への提供価値は何か?その中で営業の役割とは何か?を明確にする。

次に、顧客への提供価値は何か?その中で営業の役割とは何か?ということを明文化し、営業メンバー内で共有することが大切である。

これらのコンセプトを共有することによって、その実現を最大化させるための仕組み化とはどうすべきか?という共通の思考の軸足を持つことができる。

これらのコンセプトが曖昧なまま、単に仕組み化しようとしても、ゴールが見えないので、現場の理解も得づらく、また効果も限定的になる。

ちなみに、ディレクターバンクのビジネスは、月々のWebマーケティング運用業務委託費をいただくビジネスである。

顧客とどれだけ長い間お付き合いできる関係を構築できるか?がこのビジネスの一番大切な肝になる。

顧客の課題解決に対して、どのような形でご支援させていただくのが、結果、お互いの継続的なwin-winにつながるのか?初期提案力がそこには大きく影響する。

なので、このあたりの提供価値(=顧客の課題解決に対する初期提案力)をさらに上げていくためには、どのような仕組み化がディレクターバンク内に必要か、メンバー内で議論し、ひとつひとつの型化を進めている。

一例として、僕たちが考える提供価値を明文化し、そもそもWeb上に出しておいたほうが、潜在顧客に対してだけでなく、社内メンバーに対しても、ブレない価値共有をはかるためにも意味があるのでは?ということで、「ディレクターバンクのコンセプト」というページも先月作ってみた。

これは、新規の商談時にこちらがいつも話していることや、逆によく聞かれる質問をまとめたものである。

特に、よく聞かれる「御社の強みは?」といった類の質問については、ディレバン側の営業メンバーがきちんと答えられるように、今回このページ上でトークスクリプト化してみた。

蛇足だが、自社のWebサイトで情報を発信するメリットは、顧客に対するCRMやマーケティング以前に、自社メンバーの意識合わせや価値共有の効果が大きいと思う。

Step3.既存の営業プロセスを洗い出してKFSとKPIを設定する。

次の取り組みは、既存の営業プロセスを洗い出して、その中でKFS(重要成功要因)を絞り込み、その効果を評価するためのKPIを設定することである。

営業プロセスは、ディレクターバンクの場合、こんな感じある。

1.問い合わせ

2.オンライン面談(課題ヒアリング)

3.運用代行の場合は、担当ディレクターアサインと提案書作成

4.オンライン面談(候補ディレクターと提案書の提示)

5.ご発注

6.運用代行開始

これらのうち、どのステップが売上に一番大きな影響を与えるのかを決めて、KFSとして要件定義をする。

ちなみに、ディレクターバンクの場合、「2.オンライン面談(課題ヒアリング)」が一番大切なステップだと認識している。

このステップで、どれだけ明確な課題ヒアリングができたかどうかが、その後の提案の精度と受注確率に影響する。

なので、KFSは「初回のオンライン面談での課題ヒアリング精度」であり、KPIとしては「提案可能な課題ヒアリング面談件数」を置いている。

Step4.KPIを改善するための施策を実施し、仕組み化していく。

KFSとKPI が設定できて、やっと具体的な仕組み化の実装である。

例えば、ベタではあるが、オンライン面談時のトークスクリプトのブラッシュアップや、課題ヒアリングするための参考事例の資料化であったり。

いろんなコンテンツやフレームワークを試してみて、しっくりきたものを、ナレッジとして共有して、テンプレ化していく。

ここで、DX的な視点でツールをいろいろ活用していくのがいいと思う。

ディレクターバンク的には、支援事例集や過去の提案資料などについては、Googleスライドでメンバー内で共有しており、またそのほかの情報やノウハウ共有については、notionを使ったメンバー内Wikiを作成し、共有化を始めている。

商談状況については、HubSpotやkintoneを使っていつでも状況を共有できる仕組みを持っている。

実は、Step3でディレクターバンクのKFSは「初回のオンライン面談での課題ヒアリング精度」と書いたが、もうひとつ大切なのが「初回面談から、二回目の提案面談までの時間を短くすること」だと僕たちは考えている。

そのためには、できるだけ担当ディレクターのアサインを早く進め、支援提案書を素早くまとめることが大切である。

具体的には、担当ディレクターに相談する時のステップ数を減らしたり、過去の支援提案書で類似のものをすばやく検索できるようなDBを作ったりといった取組みに着手した。

Step5.改善成果や全体の実績が共有できる環境と、定期的に話し合う場を作る。

最後の仕上げである。

仕組み化や組織化の成果をみんなで共有できる環境を作って、さらに次の新しい改善サイクルを回していく場を作っていく。

前者については、メンバーが全体の成果や状況をいつでも参照できるダッシュボードを作るという取り組み。後者については、メンバー内での定例MTGの開催である。

ダッシュボードについては、GoogleデータポータルなどのBIツールを使ってもいいし、そんなに複雑じゃなければGoogleのスプレッドシートで十分だと思う。

使い方としても、定例MTGの段になって、みんなでじっとダッシュボードを眺めて、そこから何かコメントを絞り出すという使い方より、各自が気になった時にリアルタイムの数値をさっとダッシュボードで確認するという程度の使い方で十分だと思う。

メンバー内の定例MTGについては、例えば月イチで、今月のKPI目標の着地状況を確認した上で、今月の活動でどのようなgoodポイント、badポイントがあったか、そして今後どのようなところを改善したら良さそうか、みんなで洗い出せるようなMTGが有効だと思う。

さらに、過去の改善ポイントについても、現時点での反映状況の進捗もきちんと毎回確認しておくと、改善アイデアが言いっぱなしにならないのを防ぐこともできる。

このあたりの議論の生産性は、ファシリテーションのノウハウもあると思うけど、心理的安全性の高いチームがそもそも作れているかどうかに大きく影響すると思う。

(心理的安全性については良かったらこちらの記事もどうぞ

まとめ

以上が、今、僕なりに考えて、現在、実際に取り組んでいる、自社の営業体制を仕組み化する取り組みである。

僕なりに、自社の営業体制を仕組み化していく上で特に大切だなと思うのは以下の3点である。

1.顧客にどのような価値提供をすべきか?基本戦略やビジョン・仮説を持った上で仕組み化に取り組むこと。

今の現場作業をただ単に効率化していこうというのではなく、顧客に対する提供価値をいかに上げていくか?それによって、どうやって他社との競争優位を生んでいくか?という戦略思考がとても大切だと思う。(ちなみに戦略とは?的な解説については、こちらの記事をどうぞ

2.営業プロセスを顕在化・単純化した上で、KFSとKPIを定め、その指標を改善するための仕組み化に取り組むこと

このプロセスを踏むことによって、仕組み化自体のPDCAもまわしやすくなり、議論も錯綜しない。

3.仕組み化について前向きに話し合える関係をメンバー間で作っておくこと。改善アイデアが出てくる関係性やコミュニティ、人間関係はとても大切。

仕組み化のPDCAをまわすには、心理的安全性の高いチーム作りが一方でとても大切である。

以上である。

同じような課題を持っている方にとって、何らかの参考になれば幸いである。

コメント

Comments are closed.