企業のWebマーケティング支援をしている立場から言うのは何ですが、ビジネスにおいてマーケティングだけで解決しないことは(当たり前だが)多い。
しかしながら、マーケティングという言葉自体がとても抽象的で、ある種のマジックワードになっているので、いろんな過大な期待が寄せられ、失望が繰り広げられる要因にもなっている。
このズレって何なんだろう?
マーケティングの成果を求める前に、そもそも企業がマーケティング活動を行う本来の目的はどこにあるのだろう?
僕なりに思うところを、今一度このメモに整理しておきたいと思う。
マーケティングは失敗から始まるゲーム
マーケティングは、多かれ少なかれ、失敗から始まる。そこをどうリカバリーするかの「学習」と「修正」のゲームなんだと僕は捉えている。
ここでは、最初の一歩の「仮説作り」というのは、それほど重要ではない。
乱暴に言うと、だいたいはじめの「仮説」というのは間違っているので、はやく行動して「学習」と「修正」をしたほうが結果、近道だ。
そして、マーケティングのPDCAを本気で回せば回すほど、いろいろな不都合なこと、辻褄の合わないことに出会う。時には、直視したくない現実を見つけてしまうこともある。
それらに対して、どこまでいとわずに修正した上で、前向きに取り組めるか?このあたりを試されているゲームなのだ。
この「修正」をどの深さまでやるかで、その後の成長のレバレッジが決まる。
マーケティング施策レベルの修正なのか、ビジネス全体の事業モデルの修正なのか。
特に、新商品や新サービス、新規事業などに関しては、後者のビジネス全体(商品価値自体)の修正が必要な場合が多い。
それらを、どこまで直視して、修正し続けられるか?
ゲームの勝敗は、プレイヤーのグリッド(やりぬく力)と修正の深さにかかっている。
大切なのは、まずは、それらのゲームをし続けるPDCA環境とマインドセットを自社で持ち続けられるかどうかである。
都度都度、勝負で切っていくカード(施策)は、社内にノウハウがなければ、外部のノウハウを活用すればいい。
大切なのは、都度切っていくカードの中身ではなく、PDCAが回せる環境作りとマインドセットである。
実際にはマーケティングだけで解決しないことは多い。が、しかし、
そして、実際、ビジネスの現場ではマーケティングだけで解決しないことは多い。
でも、見方を変えると、多くのビジネスの成功は、マーケティングの失敗が起点になっていることが多い、とも言える。
アップルやスターバックスやマクドナルドも、大きなビジネス的な成功を収める前に、マーケティング上の失敗を積み重ねている。
ということは、ビジネスを成功させるためには、どれだけ多くのマーケティングの失敗打席を体験できるか?というのが、目指すべきKPIなのかもしれない。
マーケティングの定義は様々ある。
例えば、「商品を効率的に売るための、売れる仕組みを作ること」といった定義をしたり、BtoBの場合は「見込み客を開拓し、営業に渡す商談案件を発生させる活動」といった定義もある。
さらに、僕は「ビジネスモデル自体のPDCAを加速させる活動」という、内省的な視点での役割も存在すると思っている。
マーケティングは、単にビジネスをうまく動かす装置ではなく、時には、今のビジネスにどのような問題があるか、客観的な真実を突きつける裁判長のような立場になることもある。
これらの視点でも、マーケティングを事業運営をドライブさせる機能として取り入れている組織は、結果としてマーケティング自体も成功させることができるのだと思う。
マーケティング視点での成果改善に取り組みつつも、事業全体の成果改善にもきちんとつなげていく。
そういった視点を忘れずにマーケティングに取り組むことが、大切なことなんだと思う。